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演技って、練習しても上手くなってる気がしない…。
何か良い方法はないかな。
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動画で自分を見るのがいちばんだよ。
このページでは、演劇(ストレート)の演技の上達に必要な考え方やコツを解説しています。
結論としては、「演技の練習は、動画で自分を撮って確認するのが最強の方法」ということになりますが、その理由や詳しい内容を説明していきます。
目次
1.演技を上達させるための練習方法は?
役者をやっている人なら必ず悩むことがあります。
「演技ってどうしたら上手くなるんだろう」ということです。
演技は、勉強すればできる理論的なものというよりは、どちらかというと感覚的なことを多く求められるものです。
そのうえ、「これをやれば上手くなる」という定石がほとんどありません。
そのため、どうやって学んだらいいのか明確な手段がわからず、とりあえず発声練習を繰り返してみたり、実践的なシーン稽古や通し稽古をしてみたりするのですが、それらをやっても「発声練習ができるように」なったり、「そのシーンの稽古ができるように」なるばかりで、「演技の上達」に直接つながるかというとそうではないので、結局あまり意味がないことになってしまうのです。
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シーン稽古ではできてたのに、結局本番ではできてなかった、ってこともあったなあ…。
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根本的に演技が上手くならないと、付け焼き刃になっちゃうんだよね。
そんな、練習法が難しい「演技」ですが、最強の練習法が一つあります。
ズバリ、動画を撮って確認することです。
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それならやったことあるけど、あんまり上達した気はしないよ…。
決して特殊な練習法ではありませんし、やったことがある方も多いかもしれません。
しかし、「ちゃんとしたやり方」でやらないとあまり効果はなく、逆にちゃんとしたやり方でこれをやれば、最強の練習法になるのです。
それはなぜでしょう。
2.動画を確認するのが最強の理由2つ
動画を撮って確認するのが最強な理由は、2つあります。
- 自分がどう見られているか、自分で確認できるから
- 他の練習方法では、自分の課題がわからないから
この理由を把握しておくのが大切です。
それぞれ、説明していきます。
(1)自分がどう見られているか、自分で確認する
演技は、「お客さんからどう見えるか・どう聞こえるか」が全てです。
感情を込めていてもお客さんに伝わらなければ意味がないですし、面白い台詞を言っても滑舌が悪くて何を言っているかわからなければ意味がありません。
演技の練習は、演出家や監督に見てもらって、ダメ出しを受けますよね。
しかしこれでは、演出家からどう見えるか・聞こえるかという情報が、演者本人にはダメ出しという「言葉」でしか伝わらないのです。
「もっと上を向け」「もっと感情を込めろ」
こんな言葉で、果たして本人が「お客さんからどう見えているか・どう聞こえているか」がわかるでしょうか。
自分で自分をお客さん目線で見て・聞かなければ、悪いところなどわかるわけがないのです。
そして課題が明確にならないまま練習を繰り返すので、上達できないのです。
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自分が二人いればいいのに。
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それは無理だから、もう一人の『自分の目』を動画にやってもらうんだね。
(2)他の練習方法では、自分の課題がわからない
そもそも、演劇に限らず、ものごとの練習には次の3つがあります。
- 動画研究
- 基礎練習
- 実戦練習
この関係性が大事です。
わかりやすくするために、演劇同様「感覚」が多く求められる「スポーツ」で、1つ1つ考えてみましょう。
まず、「動画研究」です。
自分達の試合の動画を見て悪いところを見つけたり、対戦相手の試合の動画を見て戦術の対策をしたり、プロの解説や試合の動画を見て参考にしたりします。
動画を見るだけでは何も身につかないので、この練習方法の目的は「課題を見つける」ことにあります。
次に、「基礎練習」です。
テニスであれば素振り、サーブ・レシーブ練習、フットワークあたりがそうです。
この目的は何かというと、「課題をなくし、良い技術を身につける」ことです。
なんとなくでやっているだけでは、あまり効果がありません。
「自分のフォームのここが変」とか、「もっと早いサーブが打ちたい」とか、そういった意識がないといけませんね。
この「意識」、つまり「課題」は、動画研究をしておけば見つけやすくなります。
最後に、「実践練習」です。
テニスであれば試合形式での練習です。
この目的は、「技術を実践に落とし込むこと」です。
身に着けたフォームが実践の中でも活かせるか、試合という長い時間の中で練習したことを意識し続けられるか、そういったことが大事です。
基礎ができていないと、ただ試合のルールを把握する程度で終わってしまいます。そのため、基礎練習をしてから実戦練習をするのが良いでしょう。
ということは、これらの3つの練習は、それぞれが独立しているわけではなく、次のように関係しあっているのです。
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動画研究で課題を見つける。
↓
基礎練習で、その課題をなくし、良い技術を身につける。
↓
実戦練習で、良い技術を実践で活かせるように落とし込む。
↓
動画研究で、課題を見つける。
↓
以下同様
このうち、動画研究が抜けてしまうと、次のようになってしまいます。
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基礎練習で、課題をなくし、良い技術を身につけたい。
しかし、そもそも課題がわかりにくい。
↓
実戦練習で、良い技術を実践で活かせるように落とし込みたい。
しかし、そもそも良い技術が身についていない。
↓
基礎練習で、課題をなくし、良い技術を身につけたい。
しかし、そもそも課題がわかりにくい。
↓
以下同様
そう、自分の課題を見つける方法がなくなってしまうんですね。
課題や目標がわからないのに、ただ闇雲に「これが基本だから」「これが実践だから」とやっていても、上達はしません。
そのため、動画研究という「課題を見つける練習」というのはすごく大切なことなのです。
ちなみに、演劇に置き換えてみると、それぞれの練習方法の具体的な内容は、次のようになります。
- 動画研究:自分の演技やプロの芝居を観る
- 基礎練習:発声練習、体の使い方の練習
- 実践練習:シーン稽古、通し稽古
特に自分の演技を見ると、課題がたくさん見つかります。
ぜひ動画研究をしましょう。
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でも、中学校のテニス部だと、動画研究なんてやらなかったよ。
たしかに、中学高校の部活くらいなら、動画研究をやらなくても上手い人なんていくらでもいますね。
しかしその上手い人というのは、「運動神経が良い」「スポーツが得意」な人ですよね。
そういった人は、スタートの時点で既に「課題」がすごく少ないのです。ちょっとやれば、上手くボールを打ち返せるし、サーブも打てます。
上手い人ではない人は、そもそも「課題」がたくさんあるので、それらをちゃんと把握していないとなかなか上達しないのです。
特に演劇においては、「もともと上手い」という人はあまりいません。
もちろん才能のアリナシはあるでしょうが、多くの人は「上手くない」ところからのスタートです。
ですから、動画研究は基本的に必要、と思っていて良いと思います。
3.動画研究に必要な機材
動画研究が良い理由を説明したところで、実際にやるときに必要なものを説明していきます。
それは次のとおりです。
- スマートフォン・ビデオカメラ
- 撮影者・三脚
- ある程度の大きさの画面・音量で再生できる環境
(1)スマートフォン・ビデオカメラ
撮る機材は、「基本的にスマートフォン、特別なときはビデオカメラ」と使い分けましょう。
スマートフォンは小回りがききます。その場ですぐ確認できるし、データの共有も簡単です。普段の稽古ではこちらを使いましょう。
タブレットなら画面が大きく複数人で見やすいので、持っているならそちらでも良いでしょう。
ビデオカメラは、画質が良く、長い動画が撮れ、パソコンへのデータ移行が簡単です。通し稽古や本番などはこちらで対応しましょう。
(2)撮影者・三脚
機材の扱いについても状況に応じた使い分けが必要です。
普段は人に撮ってもらい、通し稽古などの際には三脚を使うようにするのが良いでしょう。
スマートフォン用の三脚があると、撮影者が撮影に集中しなくて良いため稽古内容を見られたり、自分一人でも撮りやすくなるため自主練ができたりするので、結構重宝します。
安いものも結構あるので、ぜひ活用しましょう。
(3)ある程度の大きさの画面・音量で再生できる環境
確認するための環境については、普段の稽古ならスマートフォンで良いです。限られた時間の中での稽古なので、機器のセッティングにあまり余計な時間はかけていられません。
しかし、しっかり動画研究をしたい場合や、みんなで確認して反省会をしたいときなどはある程度の機器を用意しましょう。
なぜなら、折角撮った動画も、小さい画面で小さい音量で視聴すると、実際の演技の感覚が掴みにくくなるためです。
実際の演技は生で観るものなので、スマートフォンの画面と比べたら迫力が段違いです。表情などの細かい動きの見え方も変わってきますね。
一人で観るなら小さめのノートパソコンでも十分ですが、スピーカーやヘッドフォンを接続できると臨場感が出て良いですね。
複数人で観るならプロジェクターとスピーカーが用意できると理想的です。学校であれば借りられないか相談してみるのも手です。
4.動画研究をするときのポイント3つ
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動画研究をするときのポイントを解説します。これが一番重要です。
ポイントは下の3つです。
- 台本を覚えてからやる
- 具体的な言葉で書き出す
- 時間をしっかりとる
(1)台本を覚えてからやる
動画研究は、基本的に自分が演技しているところを撮ります。その時取り組んでいるお芝居のシーンなどを撮ることになるでしょう。
その場合、台本を持っている状態だと、動きは制限され、入り捌けや立ち位置の確認程度にしかなりません。
台本を外していても、台詞に対して頭を働かせていないとすらすら喋れない状態、つまり台詞に集中しないといけない状態だと、動きにまで意識がいかず、動画を撮って確認する意味があるほどの動きができません。
このレベルであればボイスレコーダーで喋り方を確認したほうが良いです。
頭を使わなくても台詞が出てくるくらいになると、ようやく動きに意識が向けられるので、動画を撮る意味がでてきます。
要は、とにかく最優先で台詞を覚えましょう、ということです。
台詞を覚えてようやく演技がスタートします。
(2)具体的な言葉で書き出す
自分の演技の動画は、ただぼーっと観ていても意味がありません。
「書き出す」ことが大事です。
学校の授業では、黒板の内容をノートに書き写しさせられます(最近は変わってきていることもありますが……)。
どうせ自分のノートを見て復習なんてあまりしないのだから、黒板だけ見ていれば、板書しなくても良いんじゃないかと思う方もいると思います。
しかし板書の1番の目的は、「後で見返せる」ということではなく、「書くことで脳に定着させる」ということにあります。
自分の手を動かして書くという行為は、目で見るだけよりも圧倒的に、記憶することにつながります。
ほかに、「何かに悩んだ時は、紙に書き出すと気持ちが整理できる」というメンタルケアにおけるセオリーがあり、この「整理できる」というのも大事なポイントです。
動画を観て、気になったところを書き出すことで、「どこが気になったか記憶」し、「何が問題か整理する」ことができます。
また、「具体的な言葉で」というのも重要です。
例えば次のように書き出したらどうでしょう。
- 「なんか動きが変」
- 「何を言っているかわからない」
これだと、問題点が曖昧なので、解決策も曖昧になってしまい、しかも「書き出したことでわかった気になってしまう」ので良くありません。
とは言え、動画を観ながら具体的に書き出すのは少し難しく、書くことに集中したせいで動画を観るのが疎かになっても本末転倒なので、とりあえず上のように書いておいて、終わった後に具体的に書き足すとか、一人で観ているのであれば動画を止めて書くというのも良いでしょう。
- 「猫背で、必要もないのに腕が前に出ている」
- 「滑舌が悪く、特に単語の頭の音が聞き取りづらい」
こういった書き方をすれば、練習の時に意識して直しやすくなります。
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演出家になったつもりで、人に伝えられるような書き方をしよう。
なお、短いシーンをスマホで撮ってすぐ見返すような普段の練習でも、書き出しは効果的です。
面倒くさくなりがちですが、台本などに書き込むようにしましょう。
もし稽古場にホワイトボードなどがあれば、そこに書いて客席側に置いておくことで、意識しやすくなるので結構良いですよ。
(3)時間をしっかりとる
動画研究をするときは、「時間をしっかりとる」という意識も必要です。
動画研究は、基礎練習や実戦練習と比べると場所を選ばないので、みんなで集まっているときにやらなくても良い気がします。
また、「やっている感」も少ないですよね。
さらに、時間もかかります。
実際に演技しているところを同じ速さで見て、その上研究もするのですから、たとえばシーンを1回見て、その研究をする時間があれば、シーンを2回できてしまいます。
そういう理由で、ついつい動画研究はおろそかになりがちです。
しかし何度も書きますが、動画研究が最強の練習方法です。そして動画研究で課題を見つけなければ、その後の基礎練習や実戦練習の効果が薄れてしまいます。
そのことを意識して、ちゃんと時間をとるようにしましょう。
目安としては、動画研究:基礎練習:実戦練習が4:1:5の割合です。
実際にきっちりその時間でわけるというより、気持ち的にそのくらい、という考えで良いでしょう。
なんならもっと動画研究の時間をとっても良いと思います。
とにかく、焦らずにしっかり時間をとるようにしましょう。
5.練習への活かし方
動画研究が終わったら、もちろん練習に活かさないといけません。
この記事の最初の方で述べましたが、練習には3種類あります。
動画研究で課題を見つけ、基礎練習で課題を無くし良い技術をつけ、実践練習で技術を本番に落とし込む。
この流れで考えると、動画研究で見つけた課題はいきなり実践練習で解決しようとしてはいけません。
例えば、シーン稽古の動画を観て、猫背になっているのを直す必要があるとわかったとします。
これをシーン稽古、つまり実践練習をやる中で直そうとしても、他の色々なことにも意識を向けなければならず、いつの間にか忘れて元に戻ってしまいます。
かといって、姿勢を直す効果的な基礎練習というのもよくわからない……ということであれば、「実践練習を基礎練習に引き下げた練習方法」を作ると良いです。
シーン稽古の形をとりつつも、姿勢だけを意識して、他のことは全く気にしない。
表情がダメでも、喋り方がダメでも、立ち位置が間違っていても、とにかく姿勢だけを考えてやり切る。
そしてそれを何度か繰り返す。
そうすれば、そのうち体が覚えてくれるので、他のことにも意識が向けられるようになります。
動画研究で見つけた課題を、それだけを意識して何回か繰り返す。
これが効果的な活かし方です。
時間はかかりますが、下手にシーン稽古を繰り返すより、よっぽどクオリティの向上・安定につながります。
6.課題を見つけるのが苦手な場合
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自分の演技を見ても、どこが悪いのかわからない…。
問題は、自分の演技を見ても課題を見つけられない場合です。
そうなったら、色々な芝居を観て目を肥やすか、人と一緒に見るしかありません。
芝居を観たときは、感想や、気に入った役者の演技の良かった点、自分の演技と違う点を紙に書き出してみると良いでしょう。
人と一緒に観るときは、指摘されたところは動画を止めて細かく確認しないと、やはり「わかった気になって」終わってしまいがちです。
自分のために時間を使わせてしまうことになりますが、できればダメ出しをくれる演出さんと一緒に動画を確認しながら、自分の課題を指摘してもらうようにしましょう。
こういったことに取り組めば、自分の演技の見え方も変わってくると思います。
7.まとめ
この記事の内容をまとめると、次のようになります。
- 演技の上達には、動画研究が最強
- 人から言われた言葉だけじゃ情報が少なすぎる。自分で自分を確認するのが大事
- 動画研究→基礎練習→実戦練習→動画研究…のサイクルが重要
- 状況に応じた機材を使用する。特にスマートフォンが便利
- 自分の言葉で詳細に書き出せば、課題がはっきりする。
- 課題のみに集中して繰り返し練習することで解決でき、上達につながる。
- 時間をしっかりとる
動画撮影を活用して、演技の上達に役立ててください。
ご覧いただき、ありがとうございました。