【演劇】演技のコツ:棒読みの直し方1

演技のコツ

もしかして、自分の演技って「棒読み」なのかな…。

抑揚のイメージができてるかどうか確認してみよう。

このページでは、演劇(ストレート)の演技の上達に必要な考え方やコツを解説しています。

結論としては、「喋り方は、グラフでイメージして、大げさにやるのが大事」ということになりますが、その理由や詳しい内容を説明していきます。

1.棒読みから抜け出そう

演劇に限らず、演技が下手と言われる人の特徴として、真っ先にあがるのは「棒読み」です。

「棒読みか、そうでないか」だけで、「演技が下手か、そうでないか」が、かなり変わってきます。

演技力の大きな差になるので、早めに棒読みから抜け出したいものです。

しかし、聞く側からすると棒読みなのに、自分では棒読みじゃないと思っている人はかなり多いです。

自分はどうなのか、一度確認してみるのも良いでしょう。

さて、棒読みを抜け出すのに大事なのは、「ビジュアル的なイメージ」です。

どういうことなのか、説明していきます。

2.喋りはグラフでイメージしよう

そもそも、「棒読み」とはいったい何でしょうか。

言葉で説明すると、「台詞の喋り方に抑揚がなく、感情がこもっていないように聞こえる、悪い意味で演技しているような感じ」です。

対して、棒読みじゃない喋り方とは、「抑揚があって、感情がこもっているように聞こえる感じ」ということです。

しかし、こうやって言葉で説明すると、なんとなく意味はわかっても、「じゃあ抑揚ってどうつけたらいいの?」ということになってしまいます。

そこで効果的なのが、「グラフ的なビジュアルでイメージすること」です。

説明より先に、次のグラフを見てください。これは、「棒読みのグラフ」です。

そして、次が「棒読みじゃないグラフ」です。

この2つの線が何を意味しているか説明しなくても、ぱっと見で、棒読みとそうじゃない喋り方の違いが感覚的にわかるかと思います。

棒読みは、このグラフが棒のように真っすぐだから棒読みと呼ばれるのです。

棒読みじゃない喋り方は、言うなれば波読みかな?

台詞を発するときに、頭の中にこのようなグラフをイメージすると、棒読みを克服しやすくなります。

3.グラフの「縦」は、声の「高さ」

先ほどのグラフについて補足をします。

まず、喋り方の要素には、大きく3つあります。

  • 大きさ
  • 高さ
  • 速さ

これらのうち、棒読みに最も深く関わるのが「高さ」です。

他の2つももちろん重要だよ。

ずっと同じ声の高さで喋っていると、棒読みになりがちです。

逆に、高い声や低い声をうまく組み合わせれば、抑揚のある喋り方ができます。

つまり、先ほどのグラフは、主に「高さ」を表していると考えましょう。

4.抑揚は思っているより小さく伝わる

ここで、「なぜ棒読みになるのか」を考えてみましょう。

喋りに限ったことではありませんが、演技における大事な注意点は「自分が思っているより伝わらない」ということです。

具体的には、「自分では感情を込めて抑揚をつけて喋っているつもり」でも、お客さんからしてみると「感情が伝わらず、抑揚も感じず、棒読みに聞こえる」のです。

こうなる理由の一つとして、「自分では、発する台詞の意味や感情があらかじめわかっているから、頭の中で補正がかかる」というのがあります。

もう少し簡単にいえば、「知っているから補正がかかる」ということです。

たとえば、自分が好きな音楽を友達にすすめたとき、思ったほど良さが伝わらなかった、という経験はないでしょうか。

自分は、その曲を何度か聴いていて、歌詞やメロディーを既に知っています。特に、「ここの歌詞が良い」とか、「次のサビで盛り上がる」とか、良いポイントがより良く聴こえます。

しかし、初めて聴く人は、メロディーも歌詞もわからず、聴こえてくる音楽を受け入れるのに精一杯です。どこが良いのか、そのポイントを見つける余裕はあまりありません。

知っているか知らないかで、受け取る感覚というのは全く異なるのです。

音楽なら好みの問題もあるけどね。

「嬉しい」という感情の台詞を喋る場合、自分はその台詞を喋る前から知っているので、無意識に「嬉しい」側に補正されます。

しかし、お客さんはその台詞がどんな感情のものか知らないので、聞いているときは喋り方がそのまま伝わってしまいます。

実際の聞こえ方に対して、自分に対しては補正がかかり、ちゃんと波があるように感じてしまいます

グラフにすると、次のとおりです。

ということは、棒読みにならないためには、自分では大げさに感じるくらいに喋れば良いのです。

グラフにすると、こうです。

高くするところは大げさなくらい高く、低くするところは大げさなくらい低く喋りましょう。

そうすることでようやく、棒読みじゃない聞こえ方になります。

ちなみに、高い声は、特に女性だとキーンとしてしまいがちですが、腹式呼吸ができていると、太くしっかり出すことができます。

このグラフのイメージがとても大事だよ。

5.高いところのはじめは強くする

もう一つポイントがあります。

それは「高いところのはじめは強くする」ということです。

そうすると、メリハリがついて棒読み感がなくなりますし、さらに聞き取りやすくもなります。

これは深く意識しなくても、ある程度は自然とできますが、やはり「ある程度」だとお客さんには伝わりづらいので、やや大げさなくらいにやって良いと思います。

可能であれば、このグラフをパッとイメージして、それに沿った喋り方ができるようにしましょう。

6.大げさな演技を恐れない

ここまで、大げさにやるのが大事ということを書いてきましたが、中には、「大げさにやりすぎると、芝居がかってしまうのではないか」と不安になる人もいるのではないでしょうか。

おそらく、そういった方の多くは、リアルな、写実的な演技をしたいと考えていると思います。

しかし、どんなに写実的でも、芝居は芝居です。

芝居をやっている以上、話している相手ではなく、お客さんという第三者に言葉の意味や感情を伝えなければなりません。そのためには、多少大げさにやるのが必要不可欠です。

また、棒読みは「下手」に直結しますが、逆はそうではありません

というのも、棒読みの喋りを聞くと「あ、下手だな」と思う人は多いですが、大げさな喋りを聞いても「芝居がかっているな」というのが先にきて、すぐには「下手」に結びつかないからです。

「下手」だと思われてしまったら、もう終わりです。

大げさな演技を恐れないようにしましょう。

大げさな演技ができる人こそ、リアルな演技もできるよ。

7.練習方法

さて、棒読みを直すための練習方法ですが、適当な台本を用意したうえで、次の手順で行うのが良いでしょう。

  1. 台詞の抑揚を確認する
  2. ボイスレコーダーを使う
  3. 癖をなくす

1.台詞の抑揚を確認する

まず、台詞のどこが高いか・低いかを確認しましょう。

基本的に、文章のはじめの方は高いことが多いです。

また、台詞の中で、特に言いたいことも高くすると良いですね。

逆に低くすると強調されるというテクニックもありますが、棒読みを直すためにはそこまで考えなくて良いです。

本当は、台詞に沿ってグラフを描くと良いのですが、台本にそんなスペースはないと思いますので、高くするところを囲う程度で良いでしょう。

低くするところはわかりにくいので、「高くするところ以外は低くする」くらいの考えで問題ありません。

2.ボイスレコーダーを使う

次に、ボイスレコーダーを用意します。スマートフォンで良いです。

台詞を録音し、自分の喋りが棒読みかどうか、聞いて確認してみてください。

台本に記した「高くするところ」が「高くなっているか」、そしてそれ以外が「低くなっているか」。

もしそうなっていなければ、それを直すようにもう一度録音する、というのを繰り返します。

録音するときは、グラフをイメージしながら喋るのが大事です。

自分の声を聞くのは恥ずかしいかもしれませんが、これはすごく効果的な練習なので頑張りましょう。

ちなみに、録音した声は、自分が喋っているときより客観的に聞こえます。

とはいえ、自分はその台詞を知っているので、補正されて聞こえているということを忘れないようにしましょう。

少しでも怪しいと思ったら、もっと抑揚を強調してみてください。

大げさに聞こえるくらいが、クリアのラインです。

3.癖をなくす

喋り方は「癖」です。

棒読みは癖になっているので、動きなど、他のことを意識しているとすぐに元に戻ってしまいます。

棒読みじゃないのが癖になるまで、何度も練習しましょう。

こればかりは積み重ねが大事です。

8.まとめ

棒読みかそうじゃないかは、下手かそうじゃないかの大きな分かれ目です。

ぜひ、早めに棒読みから抜け出せるようにしましょう。

ポイントは、グラフで抑揚をイメージすることです。

そして、自分の感覚は都合が良い方に補正がかかっているので、思っているほど感情がお客さんに伝わりません。

そのため、大げさなくらいに抑揚をつけましょう

練習方法としては、ボイスレコーダーを使うのが一番良いよ。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

棒読みの直し方については、別のページでもう少し説明していますので、よければ読んでみてください。