【演劇】演技のコツ:棒読みの直し方2

演技のコツ

棒読みを直すために抑揚をつけたいけど、低い声を出すのって難しいね。

高い側の抑揚を強く意識してみよう。

このページでは、演劇(ストレート)の演技の上達に必要な考え方やコツを解説しています。

結論としては、「喋り方は、高めの声をベースにして、高い側に抑揚をつけるべき」ということになりますが、その理由や詳しい内容を説明していきます。

なお、棒読みを直すための考え方として、次のページも見てみてください。

1.低い声は難しい

棒読みは、演技の上手い下手に関わる重要な要素です。

それを直すためには、自分が思っているより強く抑揚を意識するのが大事です。

しかし、抑揚を意識するときに、1つ問題点があります。

それは、「低い声は難しい」ということです。

これが一体どういうことか、理由とともに解決策を説明していきます。

低い声が難しい理由は2つあります。

  1. 普段は低い声で喋っているから
  2. 低い声は聞き取りにくいから

1.普段は低い声で喋っているから

演技をしているときではなく、普段、つまり日常生活での喋り方を考えてみましょう。

声の高さをグラフにすると、次のようになります。

音域と書きましたが、これは「自分が出せる声の高さの幅」です。

普段は、このうち「低いところを少し」しか使っていません。

よく、電話をするときや、接客をするときだけ高い声を出す人がいますよね。いわゆる「よそ行きの声」です。

そこまではっきりしていなくても、多くの人は、必要なときだけ高い声を出して、それ以外は低めの声を出しています。

もちろん、普段から高い声で喋っている人もいるよ。

改めて先ほどのグラフを見ると、高さの範囲が狭いですね。

これは、抑揚のない、棒読みということになります。

そのため、このまま演技をしてはダメで、抑揚をつけてあげないといけません。

しかし、単純に抑揚をつけようとすると、次のようになります。

高い側は余裕があるので、抑揚の「揚」がつけられますが、低い側は下限に達してしまうため、それより「揚」にすることができません。

これでは、せっかく抑揚をつけようとしたのに、効果が薄れてしまいます。

低い側の「揚」は、高い側の「揚」と比べれば重要度は低い(後述)ですが、効果的に使うとすごく良い演技になるので、疎かにしてはいけません。

では、どうしたら良いでしょうか。

答えは、「ベースを上げる」ことです。グラフにすると、次のとおりです。

ベース、つまり「普通に喋るときのトーン」を上げれば、低い側の「揚」もつけやすくなります。

演技のときは、全体的に高い声を出すように心がけましょう。

また、全体的に声が高くなると、お客さんが台詞を聞き取りやすくなります。

これも大事なメリットですので、続けて説明します。

2.低い声は聞き取りにくいから

低い声が難しい理由の2つめは、「低い声は聞き取りにくいから」です。

これは説明しなくても、高い声のほうが低い声より聞き取りやすいのがわかるかと思います。

そう考えると、低い側の「揚」をつけてしまうと、その部分が聞き取りにくくなってしまいます。

極端に聞き取れない喋り方ではなくても、こもりがちで響きにくくなると、お客さんにとってはストレスになりがちです。

ということで、低い側の「揚」を減らして、高い側の「揚」を大きくするように、グラフを全体的に上にずらしてみましょう。

こうすれば、聞き取りにくい部分が減り、全体的に聞き取りやすくなりますね。

高い側は、音域のマックスまで持っていくイメージです。

低い側は、「普段の喋りのトーン」か、その少し下のあたりまで低くするイメージです。普段から高い声で喋っている人は、低めに調整してください。

ただ、こうしてしまうと、せっかくの低い側の「揚」の意味がなくなってしまう気もします。

しかし、マックスとミニマムの差が大きいので、十分、低い側の「揚」があるように感じます。あまり気にしすぎなくても良いでしょう。

2.低い声より、高い声を意識しよう

「普段喋るときのトーンは低めの人が多い」と説明しました。

そもそも、なぜ普段の声が低いのかというと、普段は「力を入れていないから」です。

基本的に、低い声のほうが楽に出せます。

ギターなどの弦楽器をやったことがある人はわかるかと思いますが、弦はピンと張った方が高い音が出て、弛んでいると低い音になります。

声も同じで、力を入れていないと低い音が出ます。

ということは、低い「揚」を出すには、力を抜けば良いことになります。

「低い声を出そう」と考えすぎなくて良いのです。

高い声をしっかり意識すれば、低い声はある程度は自然に出るようになります。

もちろん、低い声も出そうと思ってしっかり出せるのが理想なのですが、抑揚に慣れないうちは、高い側だけを意識して取り組んでも良いでしょう。

なお、「力を抜けば低い声が出る」のですから、低い声を上手くコントロールするには、「力を入れて力を抜く」ということをしなければなりません。これはかなり難しいです。

しかし、できるようになれば、ただ抑揚がつけられるだけでなく、「良い抑揚」がつけられるようになり、演技の幅も広がります。

高い側の抑揚をコントロールできるようになったら、低い側の抑揚もコントロールできるよう、意識してみましょう。

「良い抑揚」については、またの機会に説明するよ。

3.まとめ

ここまで、棒読みを抜け出すためのコツのうち、少し応用的なことを説明しました。

まとめると、次のようになります。

  • ベースの高さを上げる。
  • 高い側の「揚」を大きくする。

この2つを、グラフでイメージしてください。

また、高い側の「揚」をつけるほうが、低い側の「揚」をつけるより簡単で、効果的なので、高い声をコントロールできるようになるまでは、高い側を中心に意識しましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました。